館長お薦めこの一冊

三国志の本、と一口に言っても正史・演義にはじまり、深い考察本からかじった程度の解説本、漫画、ゲーム攻略本とさまざまです。試しに少し大きめの本屋に行けばそれこそ三国志本など掃いて捨てるほどあるのが現状、そんな中から館長が独断と偏見で選んだお薦めの本を紹介します。
※興味を持った方が本屋で見つけやすいように画像を使用させていただきます。支障のある場合は御連絡を。


正史 三国志(陳寿撰 裴松之注 今鷹真・井波律子・小南一郎訳 全8巻 ちくま学芸文庫)
通称「ちくま正史」。いわゆる正史の日本語完訳本はこれしかない(前身の筑摩書房全3巻は除く)ため、三国志マニアの方々には定番中の定番、必携の書。ただ、僅かながら誤植もあるので注意が必要。さらにこれは物語ではなく歴史書なので予備知識無しに読んでも面白くありません。とは言え正史を読みたい方は素人玄人に関わらず、やはりこれを買うのが賢明でしょう。三国志ファンを続けるなら買っておいて損はないと思います。
※対象・・・いわゆる日本人にとっての三国志教科書。史実を知りたい方に。

完訳 三国志(羅貫中作 小川環樹・金田純一郎訳 全8巻 岩波文庫)
タイトルが同じ三国志でもこちらは演義の完訳本。物語なので読書を苦と思わない人にはすんなりと読めます。演義の本は漫画含めて数々あるのですが、私としてはやはり横山光輝、吉川英治よりも完訳をお薦めしたいです。これは私のこだわりなのかもしれませんが、物語的につまらない部分である234年以降もしっかりと押さえてほしいというのが願いであります。
※対象・・・三国志というものに触れた事のない人。中学生以上で読書が好きな方向け。

三国志 人物鑑定事典(渡辺精一著 学研)
三国志研究の第一人者と言うべきかどうかは分かりませんが、非常に読み応えのある考察をされるのが渡辺精一氏です。この本では人物にスポットを当て、その正史・演義などの評を時には善意に、時には悪意に解釈しながら人間像を導き出すという異色の三国志本です。「歴史考証とはこのようにするものだよ」と教えてくれるような、そんな一冊です。
※対象・・・歴史をただ知る、という所から一歩進んで広い解釈・深い考証を求めようとする方に。

三国志新聞(三国志新聞編集委員会編 日本文芸社)
正史が読みにくい、とされる理由の一つに紀伝体で書かれている、というのがあります。三国志の出来事を年代を進めながら知っていきたい、そんなときにこの三国志新聞がお薦めです。基本的に正史をベースにして184年から280年までを順に追っていきます。
※対象・・・時間軸で三国志を知りたい方に。また正史未読で大まかな歴史をつかみたい方にも。

三国志演義大事典(沈伯俊・譚良嘯編著 立間祥介・岡崎由美・土屋文子編訳 潮出版社)
演義の事典かと思いきや、この本はそんなスケールの小さい物ではありません。演義に登場する人物、地名、官職などを紹介しつつ、正史との相違を説明したり、京劇の演目や遺跡の情報、民間伝承から成語まで盛りだくさん。6500円の元は十分に取れる三国志本の決定版。館長のイチオシ本です。
※対象・・・三国志を歴史だけにとらわれず、文化として全般的に極めたい方に。
館長お薦めこの一冊歴史三国志館総合交流所