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【9】


その8


火焚祭りからまもなくして、あぎらは病床に伏した。


もう、もはや何も思い残す事はない、という思いで自分を、一族を


ここまで養って呉れた我が家の天井をずっと見続けた。


「アンタ達は・・・もっと幸せになってね。・・うち、あの世で祈ってるから」


それから、静かに眠るようにしてこの世を去った。



「ありがとね、みんなホントに ありがとね」 



1047年11月、


朱点討伐時代最後の当主、あぎら 永眠。


享年1才6ヶ月。


冬の訪れ前の、最後の秋の愁いの日のことであった。




その次の日、『何か胸騒ぎがした』という漢方薬屋の若旦那が再び家に訪れた。


そして、イツ花から事の一切を聞いた。


「・・そうですか・・・あぎらはん、亡くなりはったんでっか・・・」


そういって男は絶句してしまった。



それから後、


きっかわ一族なき後の寂びれた墓に何十年にも渡り毎年供養し続ける白髪の男がいた。


一族の墓が無縁仏にならずに済んだのは、その男のお陰なのかもしれない。











第一章 終


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